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新入社員の育成: 答えではなく問いを与えるべき

この記事はなに?

新入社員の育成を担当しているあなたに取って何かの参考になるかも知れない何かです。

  • 現在自分は、とあるプロダクトで、エンジニア兼マネージャーとして働いている。
  • この春から現行のメンバーに加えて、新入社員がチームにジョインする事になった。
  • 私は、新入社員やその他のマネージメントの対象の方々がより良い成果を上げられる方法を探している。
  • そういう背景の中で、この本を読んで感じた事を整理せずにアウトプットした物がこの記事。

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構成

  • 長い前置きの後に、この本を読んで気に留まった部分の抜粋が出てくる。
  • 何かについて明確な結論は書いていない。思った事をそのまま書いてある。

全員が何らかの第一人者

1つのプロダクトを作るためには、本当に幅広い領域の知識やスキルが必要になる。

おそらくこの原因は、何か特定の狭い領域についての知識だけで作れるプロダクトやサービスは開拓されつくしてしまっていて、コモディティと化してしまい、複数の幅広い領域の知識やスキルの合わせ技をもって作ったプロダクトだけが付加価値を生めるようになった事だと思う。

そういうった環境の中では、チームのメンバー全員が何か特定の領域*1についての第一人者である場合が多いし、そうなるようにしていく必要がある。

マネージャーが行えない意思決定を行うメンバー達

全員が何かの第一人者である時、一人ひとりのメンバーは、マネージャーが意思決定できない事について意思決定を行う事になる。

答えは与えられない

ドラッカーが面白いたとえ話をしている。

それは「ベトナムのジャングルにおける若い歩兵大尉へのインタビュー」として紹介されている、次のようなエピソードである。

「この混乱した状況でどう指揮しているか」との質問に対する答えがこうだった。「ここでは、責任者は私である。しかし部下がジャングルで敵と遭遇し、どうしてよいかわからなくとも、何もしてやれない。私の仕事は、そうした場合どうしたらよいかを予め教えておくことだ。実際にどうするかは状況次第である。その状況は彼らにしか判断できない。責任は私にある。だが、どうするかを決められるのはその場にいる者だけだ」
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マネージャーはメンバーの代わりに意思決定する事はできないし、すべきではない。

彼(彼女)が答えを出せるようにするには

答えを与えられない状況でマネージャーがメンバーするべきことはなんだろうか。
それは「与えられない答えを与えようとするのではなく、彼(彼女)自身が答えを出せるようにする」という事だと思う。

どうすればそのような事が出来るのか。
それはとても難しい問題だ。

「3分間コーチ」の感想

さて、以上でとても長い前置きがおわり「3分間コーチ」の感想が始まる。
この本は、コーチングについての本だ。

コーチングとは何かという事については検索して欲しい。
私は、ティーチングとコーチングの違いについて以下のように解釈している。

  • ティーチング:「私の持つ全ての能力を彼(彼女)に伝える」 を目指す。
  • コーチング:「彼(彼女)が持つ全ての能力を私が引き出す」を目指す。

もちろん、私が知っている事の全てを伝えても彼(彼女)は答えを出す事はできない。必要なのはコーチングの考え方だ。

「3分間コーチ」はコーチングについての理論的な背景や体系だった説明よりも、それをいかに実践するかに重きをおいた本だ。

私も内容を咀嚼する事が出来ていないので気に留まった点を箇条書きしていく事にする。

  • 部下について考える。部下と話す。
    • 半期に一度の目標面談では遅すぎる。3分で良いので頻繁にコミュニケーションを取る。
    • 「部下の方から「マネージャー」と声をかけてきたときには、しまったと思うそうです。なぜ彼の様子にもっと早く気づいてやれなかったのかと」
  • 会話の中で問いを共有する。その問いが部下の頭の中に残り、その答えを探したり、いろいろと発想を展開していく<セルフトーク>が重要。
    • 3分間の会話から、次回の会話までのこそが重要。
    • 問うことが新たな視点をもたらす。
    • 未来について聞く。
    • 答えを強要しない。クローズドクエッションをしない。
  • 良い行動を行ったら承認する。褒めるのでは無く純粋に事実として伝える。
    • 承認することで方向付けを行う。
    • (指示では無く方向付けを行うというのが重要なのかも知れない)
    • 相手に現れている変化や成長、成果にいち早く気付き、それを言語化する。

もっとも面白いと思ったのは 会話の中で問いを共有する。その問いが部下の頭の中に残り、その答えを探したり、いろいろと発想を展開していく<セルフトーク>が重要。 という部分である。確かに過去に優秀なマネージャーから良い問いを発せられて、セルフトークが行われ、今までに無かった視点が持てたと感じられた経験がある。

  • どうして、良い問い掛けを受けると思考がはかどるのか。
  • 思考をはかどらせるにはどのような問いをすべきなのか。

という点については自分の中で整理がついては居ないが、「答えを与えようとするのではなくセルフトークをうながす問いかけをする」 という事が重要なのでは無いかという仮説を得た事がこの本を読んだ成果の1つだったと思う。

今後、実践の中でこの仮説を検証したり、なぜそうなるのか体系だったモデルが組み立てられるように本を読みあさっていく。

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*1:もちろん、その人が持つ能力によって専門性を発揮できる領域が狭かったり広かったりしたり、ある程度メンバー同士で領域にオーバーラップしている部分はある