書評「企業内人材育成入門」
- 春なので新入社員がやってきた。
- 人材育成についての本を読んだ。
- 感想をメモする。
育成は専門技能である
- この本は冒頭が面白い。
- おおむね以下のような事が書いてある。
- 誰もが被教育者としての経験を持つ。
- そのため、教育について知っているかのような気になってしまうが、そのような認識は失敗を招く。
- サンプル数1の、被教育者としての経験などあてにならない。
- 体系立った理論を学ぶ必要がある。
第1章
熟達化
2種類の熟達者
- 定型化熟達者
- 決まった手続きを早く正確に
- 適応的熟達者
- 手順が何もない課題を柔軟に確実に
あー、自分の場合は定型的熟達は苦手で、適応的熟達の方が得意だな…
熟達化によって起きる事
- 記憶力の向上
- その領域について良く記憶できるようになる。
- 下位技能の自動化
- 特に意識しなくてもスッとやれるようになる。
- 問題の直感的把握
- 他の人が気づかない問題にすぐ気づけるようになる。
あるあるww
第3章
動機付け理論
「成功や失敗を左右しているものは何か」
「成功や失敗を左右しているものは何か」
この答えが「外的な要因」では無く「内的な要因(自らの行動による結果)」であると感じられる場合に動機づけが高まる。(「統制の所在と呼ばれる概念」)
この概念良い。この概念によって、いろんな事が説明できる。
- 人から与えられた答えではなく、自分で出した答えにもとづいて行動する必要がある
- だからティーチングでは無く、コーチングが必要になる
- ガバナンスが強く効いた大企業より、裁量が大きいベンチャーの方が成長できる
- 動機付けしやすいから
- 「成功 → 裁量が増える → 動機付けが高まる → より大きな成功」という現象が起きる理由。
結果をコントロールできる事を認知
- 結果をコントロールできる事を認知出来た方が動機づけが高まる。
ああ、だから、楽勝な課題でも不可能な課題でもなく、一定のボラティリティがある課題が必要なのか。それがストレッチ目標か。
「能力は変化する」という感覚
- 「能力は変化する」という感覚がある方が動機づけが高まる。
フロー理論
- 心地よく強い集中。没入感。
- これまでの動機付けについての理論が「人は何によって動機付けられるか」を中心にした物であったのに対して、フロー理論は「人が動機づけられるとどのような状態になるか」を視点に加えた理論である。
- こういう状態になるとフロー状態になる。
- 行為と意識の融合
- 限定された刺激領域への、注意集中
- 自我の喪失・忘却、自我意識の喪失
- 集中しすぎて自我が無くなる
- 自分の行為が環境を支配しているという感覚
- 首尾一貫した矛盾のない行為を必要とし、フィードバックが明瞭。全体のステップが明瞭。
- 自己目的的な性質
- やってることそれ自体が楽しい
OJTの中でフロー状態に入ってもらう事を目指すとしたら、「課題を絞る」「フィードバックを明瞭に行う」「全体像を示す」と言った工夫ができそうだな。
第7章
修羅場
- 修羅場は成長のチャンスであると同時に、挫折の危機である。
はい
これについては、この記事が参考になるかも知れない。
「自分を飛躍的に成長させる状況」と「自分が潰されてしまう状況」の見分け方 - 分裂勘違い君劇場
第8章
「企業教育の政治力学」
- 正しさは相対的で、それを評価する人に依存する。
はい
全体を通して
- 全体的に薄く広くという感じなので、一つ一つのモデルに対してしっかりと納得を得る事は難しかった。
- しかし、そもそも存在すら知らない物が多かったので大いに参考になった。
- また、新入社員の育成のためにこの本を読んだが、ここで述べられているような、学習、動機付けなどのものは、決して新入社員だけが行えば良い物ではない。全員が行うべきものであると感じた。
- 動機付け関連の理論は、ソーシャルゲーム開発にも役立ちそう。